喜多桐スズメのニューおろおろ日記

漫画家・イラストレーター喜多桐スズメの日常ブログ

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車内チキンレース

夫が帰宅するために電車に乗ったときのことです。
ひとりのボーダー系の若者が、スケートボードと共に
車内でふんぞりかえっていました。

スケートボードは床でふんぞりかえり、若者は3人分ぐらいの
座席のスペースを使って、股を広げ、ふんぞりかえって座っていました。

夫は座りたかったので、その若者のとなりに座りました。

すると、公共の座席であるのにもかかわらず、若者は夫に向って
蚊の泣くような声で俺の隣に座るんじゃねぇ、というような
ことを言ったそうです。

小さな声だったので、はっきりとは聞き取れなかったようですが、
明らかに、自分の縄張りを荒らす相手に発する抗議の言葉でした。

気の小さい夫はヤラれるかもしれない!と恐怖を感じました。

そのとき、夫の脳裏に「喧嘩相手には、凶器を見せない」と
いう、友人K氏の言葉が聞こえてきたそうです。

そうだ、凶器を見つからないよう用意しておかないと!
一触即発状態です。夫は慌てて、凶器になりそうな車のキーを
握りこぶしに仕込むべく、ズボンのポケットをまさぐりました。

ところが無情にも、そっと手のひらに仕込むはずだった車のキーは、
車内に響き渡る金属音を発したのです。

ジャキッ!

ああ、狂犬のような若者に凶器を準備する音を聞かれてしまった!

もうだめだ、と思った瞬間、な、なんと、さっきまでふんぞり返って
夫をにらみつけていた若者は、借りてきたチワワのようにおとなしく
なったではありませんか。

足は行儀良く揃え、両手も膝の上に置いて。まあ、どこの好青年かしら
というポーズです。

夫が凶器を準備するために発した金属音は、
ピストルか飛び出すナイフの音に聞こえなくもなかったそうです。

その後、青年は、かるーく口笛なんぞ吹きながら別の車両に逃げて行きました。

助かった〜!

車のキーが、ジャキッ、と鳴ったとき、
びびったのは夫だけじゃなかったんですね。

弱虫同士の喧嘩はこうして静かに幕をおろしましたとさ。

 

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