喜多桐スズメのニューおろおろ日記

漫画家・イラストレーター喜多桐スズメの日々雑記

もう、貰えない

娘を連れて、東急渋谷駅から自宅に帰ろうとキップを購入していると、
娘が「ママ〜、知らないおじさんに10円もらった」。

娘の説明はこうです。

キップを買った後、おつりをポケットにしまおうとしたおじさんですが、
10円だけ落としてしまい、その、転がる10円玉を娘が拾って渡して
あげたそうです。すると、おじさんは嬉しかったのか、
娘の手のひらに「お礼」と言って10円をのっけてくれた、ということです。

実は、こういうことは特別めずらしいことではなくて
うちの娘は人からよくモノをもらうのです。それも見ず知らずの人から。

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渋谷駅でお金をもらうのはこれで二度目です。
以前、JRのホームで「あんた、わしの北海道にいる娘とそっくりじゃ」
といいながら、娘の手のひらに185円、乗せてくれたおじさんがいました。

定期入れにしまってある娘さんの写真を見せてくれましたが、
なにひとつウチの娘と似たところはありませんでした。

ウチの娘の姿を見て故郷の娘さんを思い出し、何かしたかったんでしょうね。
ちょっと、泣けてきちゃいますが、小銭にも泣けてきちゃいます。

小学校に入ってすぐカステラを1本抱えて帰ってきたときは
びっくりしました。帰り道のある家の人にもらったそうです。

私も昔は見ず知らずの人によくモノをもらいました。

あるときはお菓子だったり、あるときはお金だったり、
いちばん印象深かったのは、小2ぐらいのとき見ず知らずの人に寿司を
ごちそうしてもらったことです。

けれど知らない人からモノをもらうのは27才ぐらいで、最後でした。

大阪の淀屋橋駅から心斎橋に向うためキップを自販機で買おうとしていたら、
後ろから手がにょっと伸びてきて、お金を入れすばやく心斎橋区間のキップを
購入したおじさん、もちろん見ず知らずがさっと私にキップを渡してくれました。

何ごとかとうろたえていると、見ず知らずのおじさんは私のほうを見て
「いいから」とひとこと。どうやらおごってもらったようです。

そういえば、娘を産んでからというもの、見ず知らずの人に何かもらうということもすっかりなくなっていました。


いや、待てよ、もう私があげる側なんだ。

よその子にお菓子をあげたりすると嬉しいもんなぁ。