第169回芥川賞受賞作・市川沙央さん作「ハンチバック」すっげー読みたくて、受賞のニュースがあった次の日に地元の書店に買いに行ったら売り切れていた。
小さい書店は在庫が少ないね。でも、本屋がどんどんどんどん潰れて行ってる昨今、月に数冊程度の雑誌や本を買ったぐらいではたかだか知れているだろうけど、消えてしまわないように、地元で買うようにしています。
「ハンチバックあります?」と書店員さんに訊くと「月末には入荷するかもです。いま一生懸命刷ってます!」というセリフに痺れて、アマゾンで買うのを止め入荷を待ちました。
書店員さんが刷っているわけではないのは分っておりますが、きっとこの方の脳内で一生懸命刷っているのでしょう。
で、本屋に行くことすらままならない著者が「読書バリアフリー」を叫ぶ本。
重い障害がある著者が書いた小説っていうことより「読書バリアフリー」なんて言葉を、芥川賞授賞式でご本人が言っていたのがそもそも、すごく気になりまして。
ハンチバック、性描写、多めです。
性描写というのは「生描写」だと気が付きました。どんな姿でいようと生きて行くのです。
そしてこの作品、驚いたのが、意味のわからない言葉が沢山ありました。
ですが今や、スマホでもPCでも検索すればサクッと、出てきます。
もうもう、言葉も日々生きています。
NNって、猥褻な言葉です。
ダブチって、マックのダブルチーズバーガーですね。
セブンって、もう「コンビニ」とか言わなくても今の人はわかりますね。
で、「KOの先生」って、諭吉ですね、福沢諭吉。
一万円札の事を「諭吉」って表現はもう20年以上前の言葉だと、ハッとなりました。
報道ではタイトルのハンチバックについての説明が遠回りだったけど、本文はハンチバックにストレートなルビがふってあるよ。
私が子どもの頃に普通に使われていた言葉だけれど差別用語として消されてしまった。
存在を消されても生きることを諦めない、今を生きる人の言葉で綴られた作品。
紙の本が売れず紙の新聞も売れず紙の雑誌も売れないから、人々は本を文字を読まなくなったなのかと思いきゃ、メディアが手のひらに移っただけの現代。
自分の足で書店に行き好きな本を選びページをめくり読書を楽しむ行為が困難だった人にバリアフリーとはいかずとも、軽い端末が読書を届けるようになった。
すると、読者でいることに飽き足らず、書き手になった。
紙の本が売れない、なんて嘆いている場合じゃない。今まで書かれなかったことを書く作家が現れ、読み手に激震を与えた。
本を読む人は、知らないことを知りたい。
力強すぎる作品で、しばらく、ぼう、ってなります。
市川沙央先生の次回作が楽しみです。
で、ワタクシ、小説は明治から昭和の文豪作品ばかり再読する日々。
歴史書と言語学と脳科学の本に偏りがちな昨今。
字ずらだけ見ると難解なイメージだけど、そうじゃない、ただ面白い。
👇ポプラ社「奇妙な漢字」
この漢字にもう、ずっきゅん。
漢字です、漢字。
読書は、紙の本であろうが電子であろうが、楽しい。
👇ワタクシの電子本もお買い上げ下さい。