喜多桐スズメのニューおろおろ日記

漫画家・イラストレーター喜多桐スズメの日々雑記

中秋の名月の夜に、バーチャルお月見。

中秋の名月である昨夜、息子が「今日はお月見だから、団子買って来る」といって出掛けて行った。

近所のスーパーに行って串団子と日本酒を買って帰った息子が「じゃ」と自室に戻ろうとする。

おいおい、家族で月見をしたいんじゃなかったのかい?

 

友だちと月見をするという。

毎日オンラインゲームを共にする、パソコンの中にいる友だちだ。

出会いはパソコン経由だが、気の合う仲間のようで、パソコンの外でも会ったり、旅行をするぐらいの仲だ。息子の誕生日には全国各地からプレゼントが届く。

すげーな、バーチャルの空間の友とは距離感ゼロ。

そういうワタクシも、オンラインで会議をしょっちゅうしている方々と、リアルで昨日会った。でも、毎日会っているような感覚だったので、すんげー不思議だった。

 

でだ、ワタクシは「月見ぐらい、リアルな月をベランダから見れば?」と、息子に言った。

 

「お団子を買いに行く途中で今日のきれいな月は見たさ。いいかいママ、そもそも月見団子がバーチャルなんだよ。中秋の名月というけれど、この季節は雲が多くて月はほとんど隠れているじゃないか、月見団子は満月を模したもので月の代わりに団子を愛でて食うから、そもそもバーチャルなんだぜ」。

ぺらぺらと持論を述べて、部屋に戻ろうとするので「今日はVRなの?」って聞くと、ああ、VRの友だちと月見するのもいいか、って返事が返ったきた。

 

息子の部屋に侵入してみたことはないけれど、間違いなくこんな感じだろう。

 

確かにな、月見と言っても月を眺めている時間って長くて数分だろう。

ずーっと、空を見上げていると首がつかれるもんな。

美しいって思う時間は一瞬だ。

月がきれいだねと言いながら、仲の良い友とお酒を飲んで語り合うバーチャル宴は楽しいよな。

 

息子が部屋に戻る前に「人類は何も変わっちゃいないのさ」と、言ってのけた。

そんなことは、知ってるさ。

 

先週の大河ドラマ、光る君へは、藤原道長が催した曲水の宴の回。

羽觴(うしょう)というスズメを模したデコイに杯を浮かべて庭に作った川に流して、酒を飲みつつ歌を詠む宴。

で、平安京は鴨川の鴨にちなんだデコイなのでスズメでなく鴨デザイン。

 

作り物の鳥を作り物の川に流した宴に集う人と、デジタルで作られた空間の宴に集う人とに、何の変りもないじゃないか~、みんな楽しそうじゃないか~、と思うスズメさんなのでした。

ワタクシも今年の7月に川越ミニコミック市で出会ったVR空間で絵を描く、デジタルアーティストさんにバーチャル空間に連れて行ってもらって、びっくりしたよ。

リアルってなんだい?現実ってなんだい?バーチャルってなんだい?

 

1000年経っても人類は何も変わっちゃいない。

変ったのは、ツール、道具だけ。中身はなんも変らないね。

 

 

 

👇いいかげん、行方不明の最終回の原稿を探しなさいと、自分に喝。

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