喜多桐スズメのニューおろおろ日記

漫画家・イラストレーター喜多桐スズメの日々雑記

悲しいのだけれど生活は続く。

16日の木曜日に母が亡くなってしまった。お医者様の死亡診断書に「老衰」と書かれていて、大往生だなぁと、思った。85才。昭和12年12月12日生まれでゾロ目の誕生日が自慢の母は、来月86才を迎えることなく逝ってしまった。

 

85才でも現役でめっちゃ元気な人はこの世の中にたくさんいるのだけれど、母は仕事を辞めてしまってからすっかりお婆さんになった。

仕事は死ぬまで続けるべきだと学んだ。

 

でだ、葬儀の準備やら入所していた老人施設のおかたずけやらすんげーバタバタしてるのだが、日記を書くという息抜き行為に及んでいる。

コロナ以降、亡くなる人が多くなって火葬場の予約を取るのが大変だそう。

母は今、一泊1万円の葬儀社ホテルで息をせずに眠っている。

明日、ようやく菩提寺でお通夜ができる。

 

母が亡くなった次の日も普通に家事をこなしていた。洗濯物を干そうと洗濯機の中から洗濯物を取り出していると、ん?なんだこれは?

また、洗ってはいけないモノを洗ってしまった!

洗濯機でぐーるぐーる30分以上回され洗われ脱水されて、この通り、どっこも破損していない。

すげー、日本のお札。

乾いた英世。

使用した際、手渡した人を不快にせぬようアイロンをかけて見た。

けっこう、イケてる。

日本のお札、すげー。

 

悲しいときなのに一日のあいだに愉快なこともあったり、急に泣きそうになったり笑ったりして生活している。

みんな、そうだろうな。

 

この日は、洗ったお札にアイロンがけをする体力はあったものの、もうクタクタだったので、スーパーにお惣菜を買いに行った。

 

違うだろう、君はこまつ菜じゃなく、スイカだろう。

富里市のゆるキャラのとみちゃんは、こまつ菜の箱にしゃしゃり出ている。

 

泣いたり笑ったり、忙しい。

 

ゴルフ場でキャディをやっていた若き日の母の写真が、遺品を整理してたら出てきた。

バックの値段表に時代を感じる。

 

背が高くてとても美人だ。

 

ワタクシが18才位のとき、母に一度ゴルフ練習場に連れて行って貰ったことがあった。可愛いゴルフグローブを買ってもらってウキウキだった。

でだ、玉を50個買って、クラブを振るものの止まってる玉に当たらないんだ、コレが。

で、クラブが空を切ること数十回。玉には当たらないんだ、コレが。

かろうじて当たったゴルフボールはぽてぽてと、転がっていくばかり。

なのに、手の皮が擦り剝けてしまって血が滲み、もお、こんなの嫌だと、ワタクシのゴルフ人生は玉10個で終了した。

残ったゴルフボールを母にあげたら「ええのん❤ありがとう」ってめっちゃ喜んでた。

でだ、バンバンバン、フルスイングでゴルフボールをビュンビュン飛ばす母をずっと眺めていた、若き日のワタクシ。

なんで、あんなに飛ぶんだ。すっげーな、母。

あー、キャディさんだったんだ、ウチの母。すっげーな。