毎朝の散歩道。
台風の晴れ間、7時前にいつもの道を歩いているとワタクシの前に、3歳ぐらいの孫を連れて散歩しているご家族がいた。
祖父母らしきご夫婦と可愛らしい女の子。
3歳児ぐらいの女の子が歩道と車道を区切る鉄製のポールにタッチしながら、持てうる限りの語彙で、祖父母に話しかける。
大きいね、高いね、タッチしたよ、バーバもやって。など
きゃっきゃ、きゃっきゃ、と実に楽しそう。
その様子に目を細めて見守る、祖父らしき男性。
もう、こんなに大きくなったんだね、と成長ぶりを嬉しそうに語る祖父であろう男性。
ゆっくり遊びながら散歩している家族を追い越して先に進むワタクシ。
すると、いつものベンチがある場所に、ひげもじゃの男性がひとり腰に手を当てて虚空を見上げ佇んでいた。
男性の顔面には手入れの行き届いていない髭というか白髪まじりの毛が伸び放題。
あまりのもじゃもじゃに若干、不潔感さえ漂う。
いつも思うのだが、男性の髭というの放っておくとどこまで伸びるんだろう。
で、一瞬、ホームをレスした方なのかな?などと疑念も沸いた。身に着けているお洋服が微妙によれていたコトもあるし、何より顔面髭。だが、ホームをレスした方が発する匂いもない。
で、ベンチに男性のモノと思われるコンビニ袋があったので、チラリと中をみると、紙パックの紅茶とか食べ物とか。
たぶん、朝の散歩道で休憩中の男性だと思われた。
ひげもじゃ男性のただの朝の散歩。通り過ぎるときその男性の後ろ姿をチラリと見ると背筋がピーンと伸びていてスマート。むしろ、70年代のヒッピーファッションを着こなしているオシャレさんに思えて来た。
でだ、ワタクシの後ろにいた、あの3歳児の家族もその方を目撃したようだ。
目につくもの全てに思いつく言葉を発する3歳児。その女児の声が早朝の空に響き渡った。
はんにん!
その言葉をワタクシは背中で聞いた。
可愛らしい女の子の声が「犯人」と叫んでいた。
腹を抱えて笑いそうになった。だが、まだ男性が近くにいてゲラゲラ笑っては失礼だ。そして、振り向きたかった。
だが、その場の空気が凍り付いてる事も背中で分かった。祖父母がひとことも発しない。
はんにんと叫ばれた男性がどういう表情をしているのか、見たかった。見たかったけど、ぐっとこらえ振り向きもせず、足早にその場を去るワタクシ。
犯人と叫ばれたけど、何も罪は犯していない。
伸び放題の髭に誰も何も言わない環境に居たのかもしれない男性。
男性は今日、久々に髭の手入れをしているかもしれないな、などと思うスズメさんなのでありました。
👇髭もじゃはいないけど、仲良し家族の物語。