ピカソの画集を眺めていた息子が、突然「泣く女」欲しいと、言った。
そう、あの有名なピカソの「泣く女」。
美術の教科書にもスタンダードに掲載されていて、ネットで検索しても、サックっと出てくる、あのキュビズムな女性。
で「泣く女」価格は10億円だ。
企業の年商のような数字だ。
買えね~、無理~、って言うが、買えないんだよ。10億出しても。
所有者が手放さない限り。
息子の部屋にはワタクシが若い頃買った、安野光雅画伯の絵や、イタリアで買ったサルバドールダリのリトグラフや、八木淳一画伯の油絵が飾ってある。息子が飾ってくれっていうから、飾った。
ワタクシの趣味を理解してくれる息子に嬉しさがこみ上げて来てさ、丁寧に飾ってやったさ。
そんな絵に囲まれていると、ピカソの絵けっこうフツーに買えんじゃね?とか、って思ったようだ。
いやもうさ、ピカソはね、絵が金なんだ、金。
純粋にその絵を愛でたくて欲しい人と、兌換絵画としての価値を重んじてる人との間には大きな隔たりがある。
息子よ、アウラの喪失はあるが、絵を愛でたいのならコピーで我慢しなさい。
この画集の印刷に携わった方々も、オリジナルを再現しようと相当な努力をされているはず。それはそれで、愛おしくもありがたい。
で、この「泣く女」。
ピカソの「ゲルニカ」と同時期に描かれた絵画。
戦争の残酷さ悔しさ悲しさを表現した一枚だ。
けれども、相変わらずピカソのゲルニカが反戦の象徴として都合よく利用されている感じはいなめない。
今日も世界中で女が悔しくて悲しくてやり切れない涙を流している。
よろずなざっしー、もうすぐバイバイ。